死刑について

私が長年違和感を持っている議論に「死刑廃止論」がある。

私は死刑廃止には賛成できない。

なぜか?死刑廃止論者のいうことに合理的に納得のいく点があまりに少ないからだ。

死刑廃止論者の主な主張は以下のようなものかと思う。

  1. 死刑は,野蛮であり残酷である
  2. 死刑の廃止は国際的潮流である
  3. 死刑は,憲法第36条が絶対的に禁止する「残虐な刑罰」に該当する
  4. 死刑は,一度執行すると取り返しがつかない(冤罪の可能性)
  5. 死刑に犯罪を抑止する効果があるかは疑わしい
  6. 犯人には被害者・遺族に被害弁償をさせ,生涯,罪を償わせるべき
  7. 凶悪な犯罪者であっても更生の可能性はある

1.について、なるほど残酷だとは思うが、それを言うなら牢に閉じ込めることも十分に残酷だ。程度・主観的なことであって死刑だけを廃止する合理性は感じない。

2.について、「国際的潮流」というのは様々な分野で使われる曖昧な言葉だが日本の価値観は日本独自であっても何ら問題はない。国際的潮流に乗らなければならないのは、乗らないことで著しく国益を損なうと想定される場合のみでよいはずだ。死刑存続で著しく国益を損なうことはないので、廃止する合理性は感じない。

3.について、これだけはひっかかる。「残虐」の定義が曖昧なので困るがなんせ命を奪うのだから残虐だと言えるのかもだが、それを言うと1.同様で多くの重罰は残虐なので、死刑だけを廃止議論するのは合理性に欠ける。これが私の解釈だが残というのは方法の話であって、死刑等懲罰そのものを指すものではないと理解する。

4.について、これまた冤罪となれば罰金刑等以外のどのような刑罰も取り返しはつかない。死刑だけを議論するのは合理性に欠ける

5.について、これも同様。すべての刑罰に言えることで死刑だけ議論するのは合理性に欠ける。また少なくとも死刑はその犯人の再犯だけは確実に防げる。

6.について、被害弁償ができるとは限らない、被害弁償もできないのに、生涯にわたって罪を償わせるとはどういうことを言うのか?死刑も生涯にわたって罪を償わせる方法のひとつであり、感情的な意見としか思えない。

7.について、更生しない可能性もある。犯罪によるが日本全体での再犯率はおよそ50%で上昇傾向にあると聞く。また極刑が考えられる犯罪者に更生機会を与えることの妥当性も甚だ疑わしい。これも日本の治安の維持を考えればまったく合理性に欠ける。

 

死刑廃止論者には何一つ合理性のある主張がないと言うのが私の感想だ。

もちろん死刑など行われない世の中が望まれるし、少しでも冤罪の可能性があり得るなら死刑は適用されるべきではなく、慎重な運用が必要なのは当然のことだ。

しかしそのことと極刑としての死刑という制度があるなしとは関係がない。

死刑の代わりに終身刑の導入を主張する人がいるようだが、終身刑もあってよいだろう。しかし、更にその上に死刑という制度があることを否定する理由にはならないと考える。

 

下記のニュースを見て、どの理由で死刑を適用すべきではないと言えるのか?せいぜい感情論と個人の倫理観で1.を唱えるのがやっとではないか?

 【速報】 茨城・日立妻子6人殺害 小松被告に死刑求刑(茨城新聞クロスアイ) - Yahoo!ニュース

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